「ジョゼと虎と魚たち」を見た。
評判が良い映画だったので、いつか見なくてはと思っていた。
評価 : ★★★☆☆
(以下ネタバレあり)
だが、自分にはちょっとあまりぐっと来なかった。
なぜか?
まあ、単純な理由としては、
主人公の妻夫木がイケメンすぎる!
いや、イケメンなのが問題ではなく、社会的強者すぎる!
(ジョゼ(池脇千鶴)は、社会的弱者にあたるが)
強者の物語に、感情移入できない(単純な理論申し訳ない)。
村上春樹のいうところの、壁と卵なら、やはり私も卵の側を擁護したい。(話がちがう?)
この物語のミソの一つは、強者である妻夫木が、強者弱者の区別なく(弱者を)好きになって
その恋がうまくいなないときに、妻夫木もある意味で「弱者」になるというところなのか。
しかし、でも「だから?」としか思えない。
弱者には実質的に選択肢の制限がきつい。
その悔しさといったら。
この映画では妻夫木は結局ジョゼを捨てていってしまうのであり
単なる強者の身勝手な、強者なら心の赴くままにいろいろなことができてしまいました
という風にしか、自分には感じられない。
ジョゼがややコミカルなのは、この映画の良いポイントなのだろうが
しかし、自分の好みとしてはコミカルさの中に、
もう1レベルのシリアスさがほしかった(シリアスさはあったが、もう1レベル)。
女性の裸を出すことで、物語を引き締めるということなのかもしれないが
大変申し訳ないが、この映画では、単なる裸にしか見えなかった。
逆に快楽としての性的興奮はあったが、それはべつに映画に求めていない(そういうものはAVで)。
前半に、窓から上半身裸の女性がでてくるところで、この物語のなかの裸の価値が一気に落ちている気がする。
裸なんか、そんなに大したものじゃないよというメッセージなのか?
だとしても、そのメッセージには共感できない。
良くわからないが、この話を好きな人は、くるりも好きなんだろう。
自分は、くるりは、全面的には好きではない。
好きな曲は何曲かあるし、すごく才能があるのはわかるのだが。
クレバーなのはわかるのだが、もう少しの泥臭さとがむしゃらさ、
そのなかで奇跡的に生まれるわずかな美しさが、
自分の好みなのかもしれない。
なんだか酷評のようになってしまいましたが、
平均レベルよりは十分におもしろい映画です。
ただちょっと、期待が大きすぎたのかも。